しるもしらぬも あふさかの関 [うろうろ探訪]
「これやこの 行くも帰るも わかれては 知るも知らぬも 逢坂の関」
この和歌は後撰和歌集に収録された蝉丸作のもの、百人一首かるたで
馴染み深いですね。※後撰和歌集では「分かれつつ」となっている。
ひと月前、関蝉丸神社下社にちょこっと立ち寄り(12/5)中途半端
だったので、も少し知りたくなって再訪です(1/6)。
今回は分社、上社、下社と三社の蝉丸神社を巡ってみました。
まずは和歌にも出てくる「逢坂の関(おうさかのせき)」
逢坂の関は、近江と山城との境にもうけられた関。二つの坂が
出逢うことからこの名になったようです。別名:相坂関、合坂関。
常夜灯、これはレプリカですね。原碑は確か安土城考古博物館に保存。
国道1号線、逢坂山の峠に関址として小さな公園が作られています。
ちょっと関所を連想させるようにね。(^_^ゞ
ただ、実際に関所があったのはこの場所じゃ無かったようです。
ここには以前、滋賀県警の逢坂山検問所があり、トラック丸ごと
重量を計れる装置を置いて、過積載の違反車両などの検問を
していました。まさに関所って感じでしたけど・・・
今は・・・公衆トイレ。(^_^ゞ
さて、蝉丸神社ですが徒歩圏内で3カ所に分かれています。
京阪電車 京津線「大谷駅」から直ぐのところ、この逢坂の関址より
手前の、山の中に分社があります。
「村社」とあるのは、明治期に府県社、郷社、村社、無格社などと
分けられた社格の名残り。現在その分類は廃止されています。
関蝉丸神社、もともとは上下社をもって一社とする。とありますから、
この社は後に建てられたものでしょうね。
石段を上がる前にこちらもチラッと見ておきましょう。
〈車石〉
〈水準点・古くからのもののようですね〉
車石とは、江戸時代に東海道の大津札ノ辻から京都の三条大橋までの
約12キロの間、坂道で物資を輸送する牛車が通りやすいように
道路に敷いた切石。牛車専用道として人道と分けられていたようです。
物資輸送の大動脈であった街道、逢坂山峠と東山・日ノ岡峠が難所、
雨でぬかるむと大変なことに。
そこで京都の脇坂義堂(心学者)が私財を投じて車の轍をつけた
切り石を敷き詰めたそうです。今もあちこちで保存されているのを
見ることができます・・・ブログのテーマになりそう♪
登って直ぐ、右手直角に曲がると・・・
ここにも神楽殿があり、その奥に本殿が見えます。
神楽殿があるのは三社共通でした。蝉丸さんが歌舞音曲の神として
中世の芸能に携わる人々に崇敬されていたからですかね。
門には鍵がかかっており、入れませんでした。
社と言うより祠みたいな・・・
狛犬さんは、なかなか立派でイイ感じです。
神社には駐車場がありませんが、ここでは・・・
鰻料理のかねよさんがお店の駐車場を使わせてくれるようです。
※30分以内とのただし書きもありますが。
『かねよ』は以前、京男さんとご一緒したことがあります。
うろうろできるくらいの庭園がある、面白いお店ですよ。
余談ですが、百人一首にはもう一首この逢坂の関を歌った和歌があります。
「夜をこめて 鳥の空音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ」
(清少納言・後拾遺集)こちらは坊主めくりではお姫さんですね♪
「夜中に、鶏の鳴き真似をしても、逢坂の関は許しはしません」って
ことかな。清少納言と藤原行成のやりとりの一首と言われています。
「鶏の泣き真似」とは、函谷関の故事※を引用したもので、逢坂の関は
そんなに簡単に騙されて開くことは無い。と言ったものでしょうね。
要は、私はお固いのよ、そんなに簡単に
って・・・違うかな?(^_^ゞ(この解釈はジョークです)
※函谷関(かんこくかん)の故事とは、中国の史記にある
孟嘗君(もうしょうくん)の話。一番鶏が鳴くまで開かない函谷関の
関所が部下の鶏の鳴き真似によって開き、無事に逃げたというもの。
2016.1/6、蝉丸神社(分社)にて。
あの辺りに、こんな所があるとは。
確かに、あの辺りは、将軍塚、
谷間の峠道、なんか不気味に思う
のは、私だけでしょうか?
by Kansai-gin (2016-01-14 16:15)
「蝉丸」という名は、坊主めくりで知るぐらいでした。いつも感心して読ませていただいてますが、歴史や由来を詳しく記載されているので、本当に勉強になります。「かねよ」が気になりましたね。
by たいちさん (2016-01-14 17:30)
う~ん・・・と、ただただ感心して読んでいます
ウナギ好きには 「かねよ」 が気になり行ってみたくなります(*^^)v
by ヒロシ (2016-01-14 18:51)
趣のある神社ですね。
「かねよ」・・帰りに御飯食べるからと言えば、
3時間くらいOk かな?
創業が明治5年なんですね。
帰りに立ち寄りたいお店ですが、高そうですね。。(^_^;
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2016-01-14 23:40)
★Kansai-ginさん、ありがとうございます。
峠や谷はミステリーゾーンかも知れませんね。
ましてや京都やその周辺は歴史の坩堝?
寂れた寺や神社はちょっとゾクッとします。(^_^ゞ
★たいちさん、ありがとうございます。
詳しいというか、出来るだけ自分で噛み砕いて記録しておこうと思ってます。
詳しく書くと訳分からなくなるし・・・(^_^ゞ
「かねよ」は色んな意味で面白いところだと思います♪
★ヒロシさん、ありがとうございます。
ちょっと謎のパラダイス的?「かねよ」、800坪の庭・・・
他では味わえない雰囲気がありますよ♪
★横 濱男さん、ありがとうございます。
京都は鰻専門店も多いけれど、何処もお高いかもです。
それから比べると、ここの名物「きんし丼」2,376円は手軽かも・・・
お庭の散歩付だと思えばね♪
by 路渡カッパ (2016-01-15 00:33)
路渡カッパさんの解釈に1票(^_^)v
清少納言は、それくらい"お高くとまっていた"と思いますよ(^^;;
by 風来鶏 (2016-01-15 02:40)
おはようございます
近くでありながら行ったことなく、通り過ぎるだけですね。行ってみようかな!
by すー (2016-01-15 04:03)
★風来鶏さん、ありがとうございます。
清少納言、教養もあり高慢だと評判だったようですね。
行成との返歌、掛け合いの中で生まれた句ですから、私の解釈はちょっと違いますがね。(^_^ゞ
★すーさん、おはようございます。
近くだと行ってみたくなりますよね、機会があれば京阪大谷駅かJR大津から
遺構も神社も全て回れます。すーさんの足なら。(^_-)v
by 路渡カッパ (2016-01-15 09:54)
良いですねぇ〜
蝉丸に益々興味が湧いてきます。
路渡かっぱさんも『煉瓦病』に伝染したのかと、巷ではもっぱらの噂になっています(*^^*)
僕は昨年7月にご一緒した時にどうしても雑草が生い茂って見られなかった疏水の関連施設を、2月7日に観に行く事にしました(*^^*)
by 駅員3 (2016-01-15 13:02)
蝉丸神社があるとは知りませんでした
花札、坊主捲りを思い出しますが、神社に失礼ですね
by koh925 (2016-01-15 15:36)
蝉丸神社は結構大きな神社のようですね。
by 馬爺 (2016-01-15 15:56)
★駅員3さん、ありがとうございます。
もともと明治大正の建築が好きでちょこちょこ彼方此方訪ねていたのですが、
強烈な2種類の煉瓦ウイルスに冒されかけてます・・・(^_^ゞ
疎水の関連施設ですか、何処だろ?竪坑?見当がつきませんが、冬なら雑草の心配は無いですね♪
★koh925さん、ありがとうございます。
坊主めくりではジョーカー的な札でしたからね。
百人一首が無ければ蝉丸って知る人はほとんど居ないかもね・・・(^_^ゞ
★馬爺さん、ありがとうございます。
三社合わせるとそれなりかも知れませんが、
ひとつひとつは小さな神社でしたよ。(^_-)
by 路渡カッパ (2016-01-15 22:41)
|。・ω・|ノ コンバンワ☆
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。"○TLペコッ
by チョコシナモン (2016-01-16 00:12)
★チョコシナモンさん、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくです♪
by 路渡カッパ (2016-01-16 00:20)
おはようございます。
「かねよ」行きましたね。
元気なうちに「月心寺」にいきませんか?
あそこは、10人以上集めないといけないけど。
記憶のどこかに憶えておいてください。
by 京男 (2016-01-17 09:26)
★京男さん、こんにちは。
月心寺ですか、そう言えば次の記事で・・・
本格的な精進料理が出るのですね、行ってみたいですね。
by 路渡カッパ (2016-01-17 11:42)
蝉丸はその名前から子供のころすぐに覚えたものでした。相変わらず逢坂の関の蘊蓄が冴えていて、とても楽しいです。
by sig (2016-01-19 19:27)
★sigさん、ありがとうございます。
百人一首では特異な存在でしたものね。
逢坂の関、京都から滋賀に向かう時は必ず通ります。馴染み深い場所なんです。(⌒-⌒)ニコニコ
by 路渡カッパ (2016-01-19 21:19)
なにかちょっと平安時代を覗いたような気分になりました!
なかなか名文(!?)で楽しく読めました!
by 風の友 (2016-01-19 21:30)
★風の友さん、こんばんは。
迷解釈になりました・・・(^_^ゞ
昔の貴族、歌人たちはおおらかだったのでしょうね♪
by 路渡カッパ (2016-01-19 21:52)