楽園？もうひとつの顔。 [旅河童]
今はうさぎの楽園と呼ばれる大久野島には、忘れてはいけない暗い過去が。
第二次世界大戦以前から終戦まで、この島では毒ガスが
製造されていました。世界的に使用を禁止されていた兵器なので、極秘裏に。
そのため地図からも消され、海岸線を走る列車もこの島が見えないよう
窓を被っていたとか・・・
1927(昭和2)年、陸軍が毒ガス製造を目的に全島を管理下に置き（それまで
数戸の農家があっただけ）。1929(昭和4)年、ジュネーブ議定書(1925年)で
すでに戦争での使用を禁じた化学兵器の製造を始めた。（※開発保有は合法、
日本は議定書に署名はしたものの批准はしなかった）
戦時下は地元の農民や漁民、勤労動員学生など6500人ほどが従事、終戦の
年まで続けられ、大量に製造されたとか。ただし従事していたほとんどが、
何を造っているかは知らされず、まるで強制労働のようだったそうです。
※国家総動員法の徴用令状（青紙と呼ばれていた）により、ほとんどが
16-17歳という未成年でありながら、強制的に大久野島行かされたとか。
この事実が報道により日本国民に知らされたのは、なんと戦後40年近くも経った
1984(昭和59)年でした。それまで日本人“だけ”が知らなかったってことですね。
この風化させてはいけない事実を今に伝えるため1988(昭和63)年、ここに
『大久野島毒ガス資料館』が建てられました。ぜひ立ち寄って下さい。
工員手帳、男子・女子用作業服、液体毒ガス製造装置などが展示されている他
多くの写真パネル展示、映像による「証言でつづる大久野島」などが
放映されています。
〈陶磁器製毒ガス製造器具展示場〉
〈研究所跡〉
〈毒ガス貯蔵庫跡〉と思われる。
製造作業においても、戦後の処理作業でも被毒し、亡くなったり、後遺症に
悩まされた方も多くいたそうです。
今は平和そのもののウサギちゃんの姿を見られますが・・・
このウサギ、当時は実験動物だったのでは？の疑惑も。
確かに実験用にウサギも使われていたようですが、戦後の処理作業で
全て処分され、その時の子孫は残っていないとのことです。
島内探索のため展望台への徒歩道を選びました。途中にも何やら・・・
うさちゃんが道案内？してくれますが、これがまた結構な山道でして。(^_^ゞ
なかなか展望台へ辿り着けず、何度、ひと休みをしたことか・・・
その都度、うさちゃんが現れて癒してくれましたが♪
風景も上々、しかし道は途中からブッシュに！まだか展望台、もうヘトヘト。
特に家内はヒールのついたミュールってやつで、辛そう・・・
ここが展望台？いや、まだ先のようです。もうひと登り！
途中何組かの若者に出会い言葉を交わしましたが、若者でもヒイヒイｗ
やっと辿り着いた展望台。もう汗だくだく・・・
ここまで来た甲斐はあったかなぁ・・・脱水症になりかけ。(-。-;)
こんなにキツイとは思わなかったので、飲み物用意せずｗ
ここでもウサギちゃん、発見♪ちゃんと餌も水ももらっているようです。
ちなみにこの近くまで舗装した自転車道あり。レンタサイクルは電動アシスト！
・・・それにすればよかった。(^_^ゞ
やっとの思いで下まで降りてきました。
ちょうど島の西側を縦断したことになるのかな・・・
毒ガス関係で残されている建物としては一番大きいと思われる発電所跡は、
南東部にあるので（来る時に船窓から見えていました）行けませんでした。
短時間で島内を回るのは、電動アシストサイクルのレンタルをお勧めします！
〈長浦毒ガス貯蔵庫跡〉島の北西部にあります。
ええっ～！！まだ毒ガスが残ってたの？
・・・ご心配なく。花の下で、すやすやお昼寝ちう♪平和やのぉ～ヽ(´∀`*)ﾉ
ただ、この毒ガス。沖縄戦後、敗戦濃厚となるや本土決戦を想定して
全国にばらまかれました。
遺棄されたままのこの化学兵器のため全国各地で事故が発生しています。
島では戦後、GHQや政府により施設解体や残された化学兵器の処分が、周辺
海域への海洋投棄、火炎放射器による焼却、島内での地中処分といった方法で
行われ、除毒措置も施された。しかし処分は充分ではなく、現在でも島内地下
4～5ｍの土壌で高濃度のヒ素が検出されるなど、負の遺産を受け継いでいる。
中国戦線での使用を考えて製造された毒ガス、当然のことながら中国では
旧日本軍が遺棄した化学兵器によって多くの犠牲者が出たとか・・・
ちなみに1993(平成5)年、「化学兵器禁止条約」は10年以内に国内並びに
他国に遺棄した化学兵器を処分しなければならないと規定しています。
1995(平成7)年、日本政府は中国に遺棄されている毒ガス弾が日本陸軍のもの
であったことを公表し、調査により日本政府は過去の戦争で日本陸軍が
中国において化学兵器を使用したことを認めました。
僕らの知らない過去の戦争、では済まされない「戦後」はまだ終わってない
のだなと痛感させられます。
同時に、多くの犠牲者を出すに至ったこと，この痛ましい事実を今に伝える
この島の存在は大きいと思います。
理想論であることは重々承知ながら、この地上から悲惨な化学兵器を無くし
二度と使用しない、世界の恒久平和を希求して止まないのは日本人としての
使命では無いでしょうか。
カッパにしては重いテーマでした。大久野島探索はまだつづきます。(^_^ゞ
2014.9/6、大久野島にて。
第二次世界大戦以前から終戦まで、この島では毒ガスが
製造されていました。世界的に使用を禁止されていた兵器なので、極秘裏に。
そのため地図からも消され、海岸線を走る列車もこの島が見えないよう
窓を被っていたとか・・・
1927(昭和2)年、陸軍が毒ガス製造を目的に全島を管理下に置き（それまで
数戸の農家があっただけ）。1929(昭和4)年、ジュネーブ議定書(1925年)で
すでに戦争での使用を禁じた化学兵器の製造を始めた。（※開発保有は合法、
日本は議定書に署名はしたものの批准はしなかった）
戦時下は地元の農民や漁民、勤労動員学生など6500人ほどが従事、終戦の
年まで続けられ、大量に製造されたとか。ただし従事していたほとんどが、
何を造っているかは知らされず、まるで強制労働のようだったそうです。
※国家総動員法の徴用令状（青紙と呼ばれていた）により、ほとんどが
16-17歳という未成年でありながら、強制的に大久野島行かされたとか。
この事実が報道により日本国民に知らされたのは、なんと戦後40年近くも経った
1984(昭和59)年でした。それまで日本人“だけ”が知らなかったってことですね。
この風化させてはいけない事実を今に伝えるため1988(昭和63)年、ここに
『大久野島毒ガス資料館』が建てられました。ぜひ立ち寄って下さい。
工員手帳、男子・女子用作業服、液体毒ガス製造装置などが展示されている他
多くの写真パネル展示、映像による「証言でつづる大久野島」などが
放映されています。
〈陶磁器製毒ガス製造器具展示場〉
〈研究所跡〉
〈毒ガス貯蔵庫跡〉と思われる。
製造作業においても、戦後の処理作業でも被毒し、亡くなったり、後遺症に
悩まされた方も多くいたそうです。
今は平和そのもののウサギちゃんの姿を見られますが・・・
このウサギ、当時は実験動物だったのでは？の疑惑も。
確かに実験用にウサギも使われていたようですが、戦後の処理作業で
全て処分され、その時の子孫は残っていないとのことです。
島内探索のため展望台への徒歩道を選びました。途中にも何やら・・・
うさちゃんが道案内？してくれますが、これがまた結構な山道でして。(^_^ゞ
なかなか展望台へ辿り着けず、何度、ひと休みをしたことか・・・
その都度、うさちゃんが現れて癒してくれましたが♪
風景も上々、しかし道は途中からブッシュに！まだか展望台、もうヘトヘト。
特に家内はヒールのついたミュールってやつで、辛そう・・・
ここが展望台？いや、まだ先のようです。もうひと登り！
途中何組かの若者に出会い言葉を交わしましたが、若者でもヒイヒイｗ
やっと辿り着いた展望台。もう汗だくだく・・・
ここまで来た甲斐はあったかなぁ・・・脱水症になりかけ。(-。-;)
こんなにキツイとは思わなかったので、飲み物用意せずｗ
ここでもウサギちゃん、発見♪ちゃんと餌も水ももらっているようです。
ちなみにこの近くまで舗装した自転車道あり。レンタサイクルは電動アシスト！
・・・それにすればよかった。(^_^ゞ
やっとの思いで下まで降りてきました。
ちょうど島の西側を縦断したことになるのかな・・・
毒ガス関係で残されている建物としては一番大きいと思われる発電所跡は、
南東部にあるので（来る時に船窓から見えていました）行けませんでした。
短時間で島内を回るのは、電動アシストサイクルのレンタルをお勧めします！
〈長浦毒ガス貯蔵庫跡〉島の北西部にあります。
ええっ～！！まだ毒ガスが残ってたの？
・・・ご心配なく。花の下で、すやすやお昼寝ちう♪平和やのぉ～ヽ(´∀`*)ﾉ
ただ、この毒ガス。沖縄戦後、敗戦濃厚となるや本土決戦を想定して
全国にばらまかれました。
遺棄されたままのこの化学兵器のため全国各地で事故が発生しています。
島では戦後、GHQや政府により施設解体や残された化学兵器の処分が、周辺
海域への海洋投棄、火炎放射器による焼却、島内での地中処分といった方法で
行われ、除毒措置も施された。しかし処分は充分ではなく、現在でも島内地下
4～5ｍの土壌で高濃度のヒ素が検出されるなど、負の遺産を受け継いでいる。
中国戦線での使用を考えて製造された毒ガス、当然のことながら中国では
旧日本軍が遺棄した化学兵器によって多くの犠牲者が出たとか・・・
ちなみに1993(平成5)年、「化学兵器禁止条約」は10年以内に国内並びに
他国に遺棄した化学兵器を処分しなければならないと規定しています。
1995(平成7)年、日本政府は中国に遺棄されている毒ガス弾が日本陸軍のもの
であったことを公表し、調査により日本政府は過去の戦争で日本陸軍が
中国において化学兵器を使用したことを認めました。
僕らの知らない過去の戦争、では済まされない「戦後」はまだ終わってない
のだなと痛感させられます。
同時に、多くの犠牲者を出すに至ったこと，この痛ましい事実を今に伝える
この島の存在は大きいと思います。
理想論であることは重々承知ながら、この地上から悲惨な化学兵器を無くし
二度と使用しない、世界の恒久平和を希求して止まないのは日本人としての
使命では無いでしょうか。
カッパにしては重いテーマでした。大久野島探索はまだつづきます。(^_^ゞ
2014.9/6、大久野島にて。
行こうと想いながら立ち寄れなかった大久野島、負の遺産で歴史を
知ることも大事ですね
by ヒロシ (2014-09-23 07:08)
そんな悲しい歴史があったのですね(ｰｰ;)
今は、うさぎが暮らす平和な島にも…
そう、鉄人28号も"兵器として開発"されたという、悲しい運命を背負っていました!?
by 風来鶏 (2014-09-23 07:54)
おはようございます。
そんな過去があるのですね。
人類はいまだにいろいろなところで紛争が続いていますね。
進化していませんね。心は。
by 京男 (2014-09-23 08:36)
毒ガス製造の島で、地図から消された島だったのですね。かってテレビ番組で報道されていたのを思い出しました。
by たいちさん (2014-09-23 10:59)
★ヒロシさん、ありがとうございます。
大久野島、楽しい部分と考えさせられるところと・・・
ウサギに癒されないと重い気分で帰る事になるかもね。
★風来鶏さん、ありがとうございます。
鉄人28号がそうでしたか、本来なら殺人兵器？
悲しい運命ですね・・・
★京男さん、こんにちは。
人類の天敵は人間、悲しい性ですね。
でも少しづつ変ってきているようにも・・・平和、期待したいです。
by 路渡カッパ (2014-09-23 11:18)
山登り、お疲れ様でした。
いい思い出になりますよ。。
楽して登ると何も残りませんから。。
こういう疲れる思い出は要らないかも？？？
でも、暑い時期は電動アシストサイクルがいいかな。。。。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2014-09-23 20:12)
そうて゜した。毒ガス開発の島でした。カッパさんのこの記事でやっと思い出すほど、私の世代でも希薄なんですね。そういえば同じような秘密基地？陸軍登戸研究所の最寄駅は、うちの最寄駅から電車で10分のところです。ドキュメンタリー映画が話題になりましたが、観ておりません。
by sig (2014-09-23 20:12)
自分（広島県内なので近いですが）もうさぎの楽園のこの島には行ったことがあるのですが、その施設で働かされていた人の証言では人体実験もしていたというのを地元のニュースで最近やっていたのを思い出しました。
まだ立ち入り禁止の場所があったりするのと、広島県はしまなみ海道の島々にも戦争施設の後がそのまま砲弾台とか残っている場所があるので、戦後何十年も経っていますが、戦争があった跡を感じたりします。
平和というものの言葉の重さを改めて、考えながら拝見させていただきました。
by daylight (2014-09-23 20:45)
ここは僕も行きたいかねてから思っているところです。
煉瓦にも興味津々!!
オフ会の件、記事にアップしました。
by 駅員3 (2014-09-23 23:09)
★横 濱男さん、ありがとうございます。
小さな島の小さな山なんでしょうが、普段運動不足の私にとっては大変でしたｗ
展望台の近くで出会った自転車のコに「キツかったでしょ」って声を掛けたら
涼しい顔で「電動アシストだからラクラク」って！
膝から崩れそうになりましたよ・・・(-。-;)
★sigさん、ありがとうございます。
日本国内でもまだまだ探せば傷跡が残っていますね。
侵された国にもその痕跡は残っているはず。どんな思いでしょうね。
世代が変わり、僕らの知らないことで済ませてはもらえそうに無いですね。
★daylightさん、ありがとうございます。
悲惨な状況が証言としても残っていますね、戦争は大きな傷を残すことになります。ただただ平和を望むばかりですが、
こういう負の遺産に触れることで、今どうすれば良いかを考えてしまいます。
by 路渡カッパ (2014-09-23 23:10)
★駅員３さん、ありがとうございます。
明治期に作られた煉瓦造りの砲台も残っています（次回紹介）
何かと見どころのある島、もちろんウサギだけだと行ってませんよ。(^_^ゞ
オフ会の件、何とか参加したいと考えています。よろしくお願いします♪
by 路渡カッパ (2014-09-23 23:26)
おはようございます
忘れてはいけないし、伝えていかなければならない事実ですね。
今はウサギの島に 平和とは有り難いものです。
by すー (2014-09-24 04:30)
毒ガスとウサギ・・何か詩的でもありますね。
by ぜふ (2014-09-24 08:30)
毒ガスを作っていた事は何かの書物で知っていましたが
なかなか歩きでが有りそうで興味のある所ですね。
by g_g (2014-09-24 09:02)
そう言えばこの夏の終戦特集の番組のどれかで
この毒ガス貯蔵庫跡の映像を見たこと思い出しました。
あの映像がまさかウサギの楽園で撮られていたとは・・・
忌まわしい島の思い出をウサちゃん達が浄化してくれてる？
白黒の写真がすごく効果的です。ドキリとしました。
by Cazz (2014-09-24 09:29)
★すーさん、こんにちは。
伝えていくことも大切ですね。そして、平和を願いたいものです。
★ぜふさん、ありがとうございます。
平和だからこそ見られる風景ですね。
★g_gさん、ありがとうございます。
癒されたり考えさせられたり、小さな島ですが
興味深いところでした。(´ ▽ ` )ノ
★Cazzさん、ありがとうございます。
楽園と負の遺産、対局のような顔を持った島です。
ある意味、うさぎちゃんに癒されないと重苦しいままな気もしますね。
廃虚とはなったものの何か迫力がありました。
by 路渡カッパ (2014-09-24 13:32)
毒ガスというよりも、廃墟という意味で、興味がわきます。
（廃墟大好きです）
by しばちゃん2cv (2014-09-24 19:43)
★しばちゃん2cvさん、ありがとうございます。
私も実は廃虚好き♪ この後、煉瓦造りの廃虚も見てきましたよ。(´ ▽ ` )ノ
by 路渡カッパ (2014-09-24 23:56)
過去の悲しい歴史を今も伝える展示と建物、忘れては
行けない負の遺産ですね。今はのんびりと暮らす平和
なウサギの楽園ですね。やっぱり平和な風景が一番で
すね(笑)。
by ため息の午後 (2014-09-25 19:27)
★ため息の午後さん、ありがとうございます。
ほんと、忘れてはいけないですね。戦争は罪の無い人たちも巻き込んで、
多くの犠牲を出します。二度と再度そんなことにならないよう
全力で平和を守りたいものですね。
by 路渡カッパ (2014-09-26 01:22)
広島県で高校時代を過ごしたので、大久野島の存在は知っていました。
このような負の遺産が広島県にある、そして原爆ドームがある。その意味を考える切っ掛けになりました。
先きの大戦を考える上で、忘れてはならない史跡ですね。
by orange (2014-09-27 22:22)
★orangeさん、ありがとうございます。
そうでしたか、広島は歴史的にも日本にとって重要な都市です。
過去も、これからも・・・！
by 路渡カッパ (2014-09-27 23:38)