第八番札所 長谷寺 [西国三十三所巡礼]
奈良県桜井市初瀬にある『豊山 長谷寺(ぶさん はせでら)』
「隠国(こもりく)の泊瀬山」と万葉集にうたわれており、この地を昔は
豊初瀬(とよはつせ)、泊瀬(はつせ)などと美しい名でよばれていたので、
初瀬寺、泊瀬寺、豊山寺とも言われていたようです。
縁起には、朱鳥( あかみどり )元年(686)道明(どうみょう)上人は、
天武天皇のおんために銅板法華説相図( 千仏多宝仏塔 )を西の岡に安置、
のち神亀四年( 727 )徳道(とくどう)上人は、聖武天皇の勅を奉じて、
衆生のために東の岡に十一面観世音菩薩をおまつりになられました。
上人は観音信仰にあつく、西国三十三所観音霊場巡拝の開祖となられた
大徳であり、当山を三十三所の根本霊場と呼ぶいわれであります。(HPより)
創建以来9度を超える罹災で、焼失と復興を繰り返してきたのですが
西国三十三霊場の中でも大規模なお寺のひとつです。
現在は、真言宗豊山派の総本山として、全国に末寺3000を越えるおおもとです。
牡丹は特に有名ですが、四季を通じ花のお寺として訪れる方も多いです。
境内につながる参道、山に向ってます。階段多そう・・・
横にはバリアフリーのスロープになった別ルートの道があります。
「仁王門」(重文)建築の形式は三門一戸の楼門です。
最初に建造されたのは平安時代、一条天皇の代とされているが、
幾度か災害にあい、現存のものは明治十八年(1885)の再建。
両脇に仁王像、楼上に十六羅漢を安置されています。
仁王門をくぐると直ぐに現れるのが
長谷寺名物?「登廊(のぼりろう)」(重文)
この登廊は煩悩の数になぞらえて、108間(約200m)399段あり、
二度折れ曲がり、上中下の三廊に分かれています。
二間おきに長谷型と言われる風雅な灯籠が吊るされています。
中登廊と上登廊のつなぎのところには
「蔵王堂」↑と「紀貫之の故郷の梅」↓があります。
小倉百人一首でお馴染の「人はいざ 心も知らず故里(ふるさと)は
花ぞ昔の香に匂ひける」(古今和歌集)
紀貫之が初瀬詣で久方ぶりで訪れた宿の主人に厭味を云われ、
その心変わりを皮肉って詠ったものだそうです。恋の歌じゃないのね(^_^ゞ
この長谷寺、あちこちに歌碑があります。
古くから貴族や文化人も多く訪れる超人気スポットだったようで、万葉集、
古今集、源氏物語、枕草子、蜻蛉日記、更級日記・・・
芭蕉、蕪村、虚子の俳句にも詠まれ、文学に登場してます。〔参照〕
上登廊を登っていくと、本堂の舞台が見えてきます。
登りきったところに・・・
「鐘楼」(重文)があります。
上に登る階段がありましたが「関係者以外は入るべからず」って
言われなくても落ちそうなので遠慮しますw
下から「尾上(おのえ)の鐘」が見えます。
新古今和歌集の藤原定家の歌に、
『年を経ぬ 祈る契は初瀬山 尾上の鐘の よその夕暮れ』という歌がある。
ちょっと切ない失恋の歌のようですが・・・
鐘楼に隣接して建てられているのが「本堂」(国宝)
木造建築物としては東大寺の大仏殿に次ぐ大きさといわれています。
「礼堂(らいどう)」と合体した双堂(ならびどう)形式で
清水寺と同じような舞台も備えている、かなり複雑な建物です。
ここも清水寺同様、国宝を土足で踏んづけることになりますな。
ま、できるだけお足柔らかに・・・(^_^ゞ
舞台から見た鐘楼。
礼堂を通して奥に本堂がちらりと見える。(本堂は撮影禁止w)
礼堂の端にちょっと恐そうな、賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)さま。
舞台から見た五重の塔。落葉した桜の樹かな、春にはイイ絵になりそう。
本堂にあるご本尊「十一面観世音菩薩立像」(重文)は、
像高三丈三尺六寸(1018.0cm)。我が国で最も大きな木造の仏像である。
そう言えば、七番札所「岡寺」のご本尊「如意輪観音座像」は
日本最大の塑像(土でできた仏像)。
銅像の東大寺 毘盧遮那仏(奈良の大仏)も言わずと知れた日本最大。
こんな近くに造り別の日本最大が三体もあることになる。
長谷寺のご本尊は、通常の十一面観音像と異なり、右手に地蔵菩薩の持つような
錫杖を持ち、左手に水瓶を持って方形の大盤石という台座に立つ、
これを長谷寺式十一面観世音菩薩と言うそうです。
度重なる火災により再造を繰り返し、現在のものは室町時代のものです。
平常は腰から上が観られるようになっていますが、撮影は禁止。
(画像検索すると何故かいっぱい出てきますが・・・)
なお、特別拝観時は1階下に降りて行き、足元から見上げられるようです。
さて、本堂の前は少し広場のようになっていて自動販売機などもあります。
不思議な招き猫。・・・単に飾り?(^_^ゞ もちろんボタン押せません。
この広場から一段上がると
「愛染堂」
「三社権現社」(滝蔵三社)
ここにも舞台があり、境内が一望できます。
土足厳禁なので上りませんでしたが(国宝の舞台は土足OKやのに)
順路はつづくぅよ、どぉこまでもぉ~♪
「大黒堂」
「弘法大師 御影堂(みえどう)」
「一切経堂」調査中につき立入り禁止ってことでした。
「本長谷寺(もとはせでら)」
長谷寺の草創期のお寺のようです。
中を覗いて見ると・・・
「五重の塔」
もともとは三重の塔が建っていたようですが、これまた幾度となく再築を
繰り返し、この五重の塔は昭和29年、戦後日本に初めて建てられたもので
戦争殉難者壇信徒慰霊と世界平和を祈願するため建てられました。
「陀羅尼堂」「興教大師堂」
順路もぼちぼち終わり、仁王門の方へ降りて行きます。
途中こんな鬼がわらを・・・まるでプレデター?(^_^ゞ
五重の塔の方から見た本堂、登廊など。
2012.1/15、長谷寺にて。
○宗派:真言宗豊山派(総本山) ○開基:徳道上人
○御本尊:十一面観世音菩薩 ○創建:朱鳥元(686)年
御詠歌「いくたびも 参る心は はつせ寺 山もちかいも 深き谷川」
カッパのロードスター
素晴らしい解説で興味を惹きます(*^^)v
十数年前に参道で僧侶に尋ねたところ車イス単独では無理と
言われたのですが、参拝が可能ですね・・・
いつになるか分かりませんが訪ねてみたいです♪
by ヒロシ (2012-02-10 16:43)
こんにちは。
古今の歌に詠まれてきただけあって、見事なたたずまいですね。
登廊、鐘楼、舞台、五重塔など、写真も見事なものです。
こちらまでご利益をいただいてしまった気分です。
by sig (2012-02-10 17:14)
★ヒロシさん、ありがとうございます。
結構広いお寺なので、長々となってしまいました。(^_^ゞ
バリアフリーも進んでいるのでしょうね、僕らが行った時もちょうど広場、自販機があったところまで車椅子の方が専用の車で来られてました。
本当は登廊がエスカレータみたいになればイイでしょうね♪
by 路渡カッパ (2012-02-10 19:49)
★sigさん、こんばんは。
花の寺として有名なので、春、桜か牡丹の季節に行きたかったのですが。
人出が半端じゃないそうです。駅から門前町、お寺も観光客で溢れるそうで・・・
昔も今も人気スポットのようです。ヽ(´∀`*)ノ
by 路渡カッパ (2012-02-10 19:56)
こんばんは。
立派なお寺ですね。
もとろん私は行ったことがありません。
by 京男 (2012-02-10 20:56)
★京男さん、こんばんは。
西国三十三所、札所の順番通り回っていると何となく仏教の普及の道筋が見えてくるようで・・・
もうすぐいよいよ京都です。行かれたことのあるお寺ばかりだと思いますよ♪
by 路渡カッパ (2012-02-11 00:15)
おはようございます
壮大なお寺ですね。前に行ったのが30年も前になります。こんな写真を見たら行きたくなりました。
by すー (2012-02-11 04:54)
舞台がたくさんあって面白い建物ですね。
景色を楽しむ為のものなんでしょうか。
設計した人は風流ですね∧∧
建物を見ているだけで飽きなさそうですが
花の季節にも行ってみたいです。
by Cazz (2012-02-11 11:50)
★すーさん、こんばんは。
名前はよく知っていたのですが、行くのは初めて。
結構大きなお寺でした。四季を通して楽しめるようなので
また行ってみたくなるお寺ですね。(^_-)♪
by 路渡カッパ (2012-02-11 19:28)
★Cazzさん、ありがとうございます。
本堂の舞台はちょっとスリルが・・・前に傾斜しているんです。(^_^ゞ
転がるものを落としたら、まず下まで落ちて行きます。
風景も良いし、一句詠みたくなるのでしょうね。(^_^ゞ
by 路渡カッパ (2012-02-11 19:34)
長谷寺はまだ行ったことがありません。
一度は、行かなくちゃ~と思ってますが・・・・
それにしても、カッパさんの解説、感心しました!
by kazenotomo (2012-02-15 14:26)
★kazenotomoさん、ありがとうございます。
花の季節は良さそうですよ♪ 人出も多いようですが。
解説、( )内の漢字の読みが鬱陶しいでしょ。
自分で読めない漢字が多くて・・・(^_^ゞ
by 路渡カッパ (2012-02-15 17:59)